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井上靖著『しろばんば』新潮文庫

[ テーマ: 読書 ]

2009年10月9日23:36:00

朝晩の空気が、めっきり冷たくなってきている。そんな季節の夕方に、そう柿の実が色付く頃になると、何処からともなく舞ってくる「しろばんば」は、田舎に育った私にとって淡い子供の頃の思い出である。そして、井上靖の文学の世界を思い出す。その中で、『夏草冬涛』新潮文庫が最初に手にした文庫本であったから面白い。今は、上、下の2巻になっているが、当時は1冊で随分厚い文庫本であった。鋭角な美

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井上靖著『しろばんば』新潮文庫 「夕方になると、決まって村の子供たちは口々にしろばんば、しろばんばと叫びながら、家の前の街道をあっちに走ったり、こっちに走ったりしながら、夕闇のたてこめ始めた空間を綿屑でも舞っているように浮游している白い小さい生きものを追いかけて遊んだ。素手でそれを掴み取ろうとして飛び上がったり、ひばの小枝を折ったものを手にして、その葉にしろばんばを引っかけようとして、その小枝を空中に振り廻したりした。そして、曲線美

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しろばんばというのは"白い老婆"ということなのであろう。子供たちはそれがどこからやって来るか知らなかったが、夕方になると、それがどこからともなく現れてくることを、さして不審にも思っていなかった。夕方が来るからしろばんばが出てくるのか、しろばんばが現れてくるので夕方になるのか、そうしたことははっきりとしていなかった。しろばんばは、真っ白というより、ごく微かだが青味を帯んでいた。そして明るいうちは、ただ白く見えたが、夕闇が深くなるにつれて、それは青味を帯んで来るように思えた。」と、であった。鋭角な美

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな思い出を感じつつ、アンバランスなスナップの世界で何故と、そんな感じ方が我ながら不思議である。

 

 

 

 


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